第62章 不安な心

「ほら、風。こんなに自由に吹いてる。ほら、太陽。こんなにあったかい。きっと、あの人は空の上から凛のこと見てるよ。凛が幸せじゃなかったら、向こうでも安心できない」

野口凛の身体は、さっきよりも激しく震えた。涙が、切れた糸の珠みたいにぽろぽろ落ちる。

「ほんとに……? ほんとに、安心できないの……?」

「ほんと」

南坂海乃は、その隙に、そっともう一歩だけ近づいた。

「降りておいで。姉さんがついてる。まだ食べてないおいしいもの、いっぱいあるし。まだ買ってない可愛い服だって、いっぱいある。がっかりさせないで、ね」

凛は、海乃のぶれない目を見つめた。胸の奥に居座っていた死の決意が、わずかに...

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